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まちにわ防災講座  開催レポート

2021.07.29

7月11日午前10時より「まちにわ防災講座」が行われました。

今年度4回予定している「まちにわ 講座」の第1回目は防災講座。「行政区・マンション・戸建て、わけ隔てのない防災対策とは〜ひばりが丘団地編〜」と副題をつけました。

ご存知のように、まちにわ ひばりが丘がエリアマネジメントをする地域は、東久留米市と西東京市にまたがります。ひばりが丘パークヒルズがあり、ひばりが丘フィールズをはじめとする5つの大規模マンション、戸建て住宅、また、近隣にもたくさんの住宅があります。それぞれに防災活動をされている皆さんや、住民の方、エリア外にお住まいの方も一緒に、地域に住む皆さんで防災について考える機会を持つことが目的です。

講師は防災講座の専門家吉高美帆さん。COMMUNITY CROSSING JAPAN(まちやマンションに共助をつくる防災減災プロジェクト)のファシリテーターとして、マンションでの防災講座をたくさんなさっています。2016年、2017年に、このエリアで、マンションにお住いの方を対象とした防災講座を実施した際も、講師を務めていただきました。その講座をきっかけにマンションでの防災活動が始まった、とも言えます。「ひばりが丘の皆さん、とても防災への意識が高いですね」と話されましたが、その種は吉高さんによって蒔かれた、とも言えます。

参加者はひばりテラスで10人、オンラインで9人の申し込みがありました。「最近大きな災害が多いので知識を得たいと思った」「防災委員会を立ち上げたが、他のマンションの活動の様子を知りたい」「最近越してきて、地域のことがよくわからない。」など申し込みに添えられたメッセージも多様でしたが、共通するのは災害に対し、自分たちで考え、動ける「よき避難者」になろうとする意気込みです。ひばりが丘1丁目、2丁目、エリア外のマンションの方も参加され、地域で繋がるということを実感しました。

講座は講義とワークショップを織り交ぜて行われました。

まずは東日本大震災の時に、何が起こったかを知ることから始まりました。その中で「コミュニティの力が長期化する再建の時期の快適さを左右する」ということを学びました。建物さえ頑丈なら、自分たちの住まいで「自主避難」することになることを想定し、どんなことが必要か書き出し、話し合うという「よき避難者ワークショップ」につながりました。

先ずは現在している備えを書き出すことから始まりました。サラサラと鉛筆を走らせる音が、参加者皆さんの真剣な気持ちを表しているようです。

ワークシートに書き込んだあとは4つに分かれたグループ内での発表。まちにわ ひばりが丘の理事や住民の方がファシリテーターとなり、それぞれの話し合いをリードしました。参加の動機や今までの活動から生まれた悩みも語られ、うなづきながら話を聞く姿が見られました。

再び講義の時間。東日本大震災の実態を学びました。指定避難所のキャパシティは足りないことが予想されること、建物が無事であれば在宅避難が求められること、マンションや自主避難所は自分たちで運営する必要があること、想定外の事態となりマニュアルが通用しない例が多く見られたこと、雰囲気の良い避難所は住民それぞれが役割をもち、信頼関係を構築していったこと、などを聞き、それならば、どういうことが必要かを参加者同士で話し合い、考える時間になりました。

一人一人の備えに加え、コミュニティで助け合わなければ対処できないことにどう備えるか、コミュニティの力を育てるのはどうしたら良いか、ボランティアの受け入れや、エリア外の人の受け入れも想定したい、など活発に話しあいが続き予定の時間をすぎるほどでした。

ワークシートには気づいたことなどがびっしり書き込まれました。

最後にグループの代表が話し合われたことや感想を発表しました。オンラインの参加者へ顔を向け、語りかけました。

「トイレの問題一つとっても行政は頼りにならない。生きたマニュアルを作って行かなければ」「避難所では心のケアも必要となるだろう。悲しみが怒りに変わることを避けたい」「みんなで知識を共有することが必要と思う」「発災後の道筋に気づきがあった」「コミュニティをどうやって育てていけば良いのか」など新たな課題も共有することができました。

後日参加者の皆さんがが答えたアンケートでは「防災に興味をもつ仲間がいることがこんなにいることがわかった」「多くの気づきがあった」と仲間と学んだ成果を喜ぶ声があり、また「ひばりが丘にフォーカスしたさらに踏み込んだ内容も聞きたかった」「導入編の続編を期待する」と言う声もありました。

最後に吉高さんから「私たちは防災のために生きているわけではありません。防災はいつもの暮らしの延長線上のことです。ぜひ、生きたコミュニティを作っていってください」とまとめの言葉をいただきました。

事務局長の若尾が閉会の言葉を述べた後も、会場の皆さんはまだ話し足りない様子。連絡先を教えあったり、次の集まりの相談をしたり、賑やかな散会の風景となりました。

今回の講座はあえて「導入編」としました。これは、エリア内に防災意識の高い方々がたくさんいるものの、防災活動に一歩踏み出せない方を巻き込むこと、また、活発化してきた個々の防災活動の横の連携を促し、より拡がりのある防災活動のきっかけにしたかったためです。
コロナ禍において、ワークショップを含めた講座で、オンラインとリアルのハイブリッドで行うことは事務局も講師も初めてであり、試行錯誤し、当日も余裕を持った運営ができたかといえば自信がありません。しかし、アンケートの結果を見て、参加者のみなさんに満足いただけた内容になっていたと同時に、「より多くの人と」「さらに応用を含めた学びと実践をしていきたい」という声も聞かれたことは、嬉しくもあり、これからの課題と感じました。想定外の状況で、「誰ひとり取り残さない」ために、まちにわひばりが丘ができることはなにかを、身を引き締めて、新たに取り組んでいきたいと思えた講座でした。